愛かわらずな毎日が。
「正解は、池谷でした」
そう言うと、福元はグラスに口をつけたままフリーズしてしまった。
年度末恒例、営業部全員参加の飲み会のあと、二次会の誘いを断わって福元とふたりでとあるバーで飲み直していた。
つい先ほど耳にした会話の内容を、言うべきか。言わざるべきか。
もちろん。
俺は悩むことなく、「実はさ、」と包み隠さず報告した。
「で?どうすんの?」
「……どうする、って」
喉を鳴らしてビールを流し込んだあと、グラスを手にしたまま肩を竦めた福元は、
「愛ちゃん次第、ってことか」
俺のその言葉に対して否定も肯定もしなかった。
「堂々と交際宣言すればいいのに」
「ははっ。交際宣言、て」
「秘密にする意味がわからん。社内恋愛禁止、ってわけでもないのに」
「俺に気を遣ってくれてるんだよ」
「なんだ、それ」
「彼女なりの優しさ、ってやつ」
「そんな優しさはいらん」
「……なんでおまえがキレてんの」
「知らね」