愛かわらずな毎日が。
桃奈と「はんぶんこ」したニンジンをのみ込んだ真斗が、
「ももが言ったこと、あんま気にすんなよ。
……ってか。俺も、からかうようなこと言っちゃったんだけどさ」
ちらりと私を見てそう言った。
あら、まぁ。いつの間に。
アンタもそんなことを言えるような歳になったのね。
なんて。
「べつに。子どもの言うことだし、気にしてませんけど。っていうか。変に気を遣わないでくれる?そっちの方がツラいわ」
「ははっ。姉ちゃんらしいや」
「それはどうも」
よかったらどうぞ、と、うさぎが並んだ皿を真斗の前に置いた。
お茶のおかわりちょうだい、と湯呑みを軽く持ち上げた真斗。
既にソファに移動して絵本を読んでいる桃奈に視線を移すと、
「みっちゃんと別れたとは聞いてたけど。
その後どうなったのかなぁって、気にはなってたんだよね。いちおう。そう、いちおう」
そう言って鼻をスンと鳴らした。
「みっちゃん……て。それはまた随分とむかしの話ね。お母さんから聞いたの?」
「うん。別れてすぐに。『お姉ちゃん、みっちゃんと別れちゃったの!』って。電話がね」
「わざわざ?」
「そう。わざわざ」
「……ったく」
席を立ち、ポットのお湯を急須に落とす。
真斗は座ったままグッと伸びをすると、ぽろりとこぼした。
「結婚するのかなって、思ってたんだけど」