愛かわらずな毎日が。
まぁ、ふつうはそう思うよね。
思っちゃうよね。
多分、真斗のそれは、嬉しいって感情に分類してしまっていいだろう。
だけど。
私の「嬉しい」と、真斗の「嬉しい」は違う。
まったくのベツモノだ。
「でも、関係なくない?姉ちゃんのカレシの話から、なんでみっちゃんの、」
うさぎのかたちをしたリンゴをつまみ上げた真斗の動きが止まる。
「……もしかして。みっちゃんと、」
「え?」
「やっぱりみっちゃんがいい、って。そう思ってるんじゃ、」
「ちっ…、ちがう、ちがうっ!それは絶対にないっ!」
慌てて右手を振って否定した弾みで湯呑みを倒してしまった。
「わっ…、」
「あーぁ、なにしてんの。大丈夫?」
「うん。ごめん、」
立ち上がってふきんを取りに行く私を追いかけるようにして、真斗の視線がついてきてるのがわかった。
たまらず、
「相変わらずでしょ。ほんと、困っちゃう」
そう言って苦笑いする。
真斗は、テーブルの上にあった桃色のハンドタオルでこぼれたお茶を拭き取りながら、
「まさか。カレシの、じゃないよな」
と言う。
「…………、」
そのせいで、思い出してしまった。
溢れ出す感情に蓋をするような、あの笑顔を。
あの人のことを。