愛かわらずな毎日が。
それは、一昨日の金曜日。
福元さんと佐伯さんと三人で、食事でもして帰ろうか、と会社を出たときのこと。
「うわっ、さむーいっ」
自動ドアが開くと、ひんやりと冷たい空気がまとわりついてきて、慌てて手にしていたグレーのストールをぐるぐると首に巻きつけた。
佐伯さんは、
「明日も寒いのかなぁ。あー、行きたくねぇ」
そう言うと、ブルブルとわざとらしく体を震わせる。
そんな佐伯さんを見て、フッと息を漏らした福元さんが、
「明日は暖かくなるらしいけど」
と、視線を腕時計に落として言った。
明日から営業部数名と、研修と名のついた旅行に参加することになっている福元さんと佐伯さん。
乗り気でない様子の佐伯さんは、
「じいさんたちの相手は疲れるし」
とか。
「愛ちゃんも一緒に連れて行けたらなぁ」
とか。
そんなことを言っては大きなため息を吐く。
「それより。どうする?近場で済ませるなら、このまま駅方面まで歩くし。他に希望があれば、タクシー拾うけど」
と、福元さんが私を見下ろして言った。
明日は集合時間も早いようだし、佐伯さんは旅行の準備すらしていないらしい。
食事は簡単に済ませたほうがよさそうだ。
「駅の近くにしましょう。……あ。そういえば、森下とフラッと入ったお店が、西口から少し歩いたところにあるんです。そこが、けっ……」