愛かわらずな毎日が。
下の名前で呼ぶなんて、珍しいことじゃないし。ただの知り合いでしょ。
そう思いたいけど。
「ごめんね。急に、」と。
その人が、申し訳なさそうに笑うから。
ううん。
「申し訳ない」って表情を使って、溢れ出す感情に蓋をするみたいに笑うから。
あぁ、きっと。
この人は、福元さんの。
……どうしよう。
頭の奥がビリビリと痺れて。
のどの奥がチクチクと痛んで。
体じゅうが心臓になったみたいに全身がドクドクと脈打っている。
ジンジンとする目のせいで、驚いた表情をした福元さんが滲む。
私は、どうすればいいのだろう。
どうすれば。
「久しぶりだねー、レイカちゃん」
一歩前に出た佐伯さんが、やけに明るい声でそう言った。
「……うん。久しぶり、だね」
困ったように笑うその人が、助けを求めるように福元さんを見た。
福元さんは。
福元さんは、数秒ほど目を閉じてから小さく息を吐き出して。
そして。
「どうしたの?」
そう訊ねた。
心臓がドクドクとうるさい。
うるさい。
うるさいってば。