愛かわらずな毎日が。
「あのっ……、」
思ったよりも大きな声が出てしまって、自分でも驚いた。
三人の視線が一斉にこちらに向けられたから、体がカァッと熱くなる。
視線の先をどこに置いたらいいのか、わからなくて。
それは、まるで枯れ葉のようにはらはらと舞い、足元へと落ちた。
「みなさん、お知り合いみたいなので。私は、ここで。お疲れ様でした。また、月曜日、」
そう言って頭を下げると、駅を目指して歩き出した。
走るとまではいかないけれど、いつもより速く足を動かして。
不自然に見えないように、できる限り速く。
空気の読める女。
理解ある彼女。
三人の瞳には、どう映っただろう。
なんて。
福元さんは気づいてる。
佐伯さんも、きっと。
だって。
「ご用件は?」なんて訊けないし。
ふたりが会話するところも見たくないし。
自己紹介するのも、されるのも避けたいし。
にこにこと愛想笑いなんか、絶対にできないし。
私には、あの場を去ることくらいしか。
もちろん気にはなる。
私が居なくなったあとのこと。
三人は。
福元さんと、あの人は。
首に巻いたストールも、スカートの裾も、後ろに引っ張られているみたいに。
苦しい。重たい。