愛かわらずな毎日が。

窓越しに見たイルミネーションは、クリスマス仕様で。


あぁ、そういえば。

ケーキの予約、まだしてなかったな。


なんて。

思い出したりして。


イヴは一緒に過ごせるよね。


って。

少し、不安になったりもして。


福元さんからの連絡があったかどうか、確認するのが怖くて。

マナーモードにしたままのスマホは、バッグの底に沈めてある。



「まさか愛ちゃんと、こんなところに入るとは思ってもみなかったな」

そう言って目を細めた佐伯さん。

「すみません。付き合ってもらっちゃって。
ほんと、ごめんなさい」

と頭を下げると、

「新鮮、だね。うん。たまにはこういうのもいいなぁ」

って。優しい表情のままそう言ってくれた。


なんだか。

不思議と息をするのがラクになって。

丸まっていた背中をピンと伸ばした。


「さすがにひとりは、抵抗があって。だから、助かりました」


「あはは。お役に立ててよかった」


「早速ですが。いただきます」


「うん。いただきます」


ふたりして目の前の牛丼に手を合わせる。


誘ってくれた佐伯さんに、

「どうせなら、ガッツリいきたいです。
たとえば、牛丼とか」

と言ってしまったのだ。


「なぜ牛丼!?」

と、驚かれたけど。


でも。牛丼気分なのだから仕方ない。

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