愛かわらずな毎日が。
「目が、腫れてるだろうな、って。
鏡でね、こう、確認しようとしたら、」
洗面所での様子を再現しようと、左の人差し指で目蓋をひと撫でしてみせる彼女。
「そうしたら、気づいちゃったんです!」
彼が。
密かに用意していた指輪に。
夜中にこっそりはめた指輪に。
うっかり外し忘れた指輪に。
そう。
洗面所で騒いだ彼女が悪いのではない。
彼女の薬指に指輪をはめ、そのまま眠りについてしまった彼が悪いのだ。
「そっか。……うん。」
手を伸ばし、彼女の髪をくしゃりとやる。
昨夜のプロポーズの際、少しばかり緊張していたせいか、彼は用意していた指輪の存在をすっかり忘れていたのだ。
そのことに気づいたのは、真夜中のこと。
隣でスヤスヤと眠る彼女の髪に触れたとき。
「あ……。そうだ、」
ベッドサイドチェストの一段目に大事にしまっておいたのだ。
もうすぐやってくるクリスマスが、そのときかもしれない。
そう思って。