愛かわらずな毎日が。
『何が正解なのか、わからないけど。
きっと、今なんだと思う』
そんな言葉を思い出し、眠る彼女の指にはめた。
あのとき、こうしてちゃんとはめてあげられたらよかったのかもしれない。
そんな後悔が彼の胸をチクリと刺したが、その小さな痛みもすぐに消えてなくなる。
愛おしい彼女が隣にいてくれる。
その喜びのほうがはるかに大きいからだ。
「これからもよろしく」
そう言って彼女の頬に触れた。
彼女の寝息と彼の呼吸が重なると、想いを伝えた安堵感、彼女がくれる安心感、それらが彼を夢の中へと誘う。
朝になったら、ちゃんと
顔を見て、渡そう
考えてみたら、俺、
サプライズとか、そういうの、
センスない、のかもしれない
彼女の薬指に触れた彼がゆっくりと目を閉じた。
数時間後には思わぬサプライズとなっていることなんて、知る由もなく。
【END】