愛かわらずな毎日が。
「おかえり。遅かったね」
ゆっくりと開いたドアの隙間から妹が心配そうな表情を覗かせた。
私は、真っ赤になっているであろう目を見られないように下を向き、
「うん。ちょっと、ね」
とだけ言って中へと入る。
「お母さん、心配してたよ」
妹のその言葉に、サンダルを脱ぎかけた動きを止めた私。
「心配されるような歳でもないけど」
と肩を竦めた。
「そんなこと言わないの!お姉ちゃんが知らないだけで、お母さんはいつもお姉ちゃんのこと気にかけてるんだから!」
既に就寝した両親を気遣ってか、小声ながらも私を叱りつけているのは、七つ年の離れた妹。
なんとも複雑な気分。
「そっか。……ごめん」
そう言って、なかなかスッキリしない鼻を指でつまんだ。
「えっ?……やだ。やけに素直だね。
なんか、あったの?」
妹に顔を覗き込まれそうになった私は、慌ててサンダルを脱ぎ、家へ上がる。
「べつに、なにも」