愛かわらずな毎日が。
「田辺部長の内線番号は、っと……」
電話の横に置いてある内線番号の一覧表を指でなぞる福元さん。
「255です」
田辺部長は私の直属の上司だ。
幾度となく電話を取り次いできたため、嫌でも覚えている。
私が内線番号を教えると、福元さんはにっこり笑って、ありがとう、と言うと受話器を取った。
「内線、2、55っと。
………あ、福元です。……えぇ、そうなんです。実は、今から総務の女の子をひとりお借りできないかと思いまして。……はい。……はい。
申し訳ありません。助かります。………はい。
ありがとうございます」
受話器を置いた福元さんが、
「いいってさ」
と、口角を上げて私たちの顔を見る。
すると香織が間髪入れずに、
「だったら、間宮さんにしてください。
会議の手伝いは、私と森下さんのふたりでじゅうぶんですから」
と言ったのだ。
「ちょっ、と……っ」
なに言ってるの。
ここはふつう、森下が行くべきでしょ。
入社二年目の、下っ端の森下が。
「そう?じゃあ、間宮さんにお願いするよ。
食べ終わったら受付で待ってて」
「えっ!?」
「悪いけど、よろしく頼むね」
って。