愛かわらずな毎日が。

「………え?」

おなかの上に置いていたリモコンが床に落ちる。

でも。

鈍い音を立てたリモコンがどうなったかなんて、気にする余裕はなかった。


「………なんで?……だっ、て」

腕に力を入れてなんとか立ち上がることに成功した私は、そろそろとテレビに近づくと、その場に立ち尽くしてしまった。


「ばぁちゃん……、危ないんじゃ、ないの?」


リポーターの後ろに映る自分の彼氏に問いかけた。


間違いない。

二年も付き合ってきた彼氏が、見ず知らずの女の肩を抱き、カメラにむかって笑顔を見せている。


「冗談、……でしょ?」

だって。


『ばぁちゃんが危なくてさ。病院に行かなくちゃいけないんだ。ごめん。ほんと、ごめんな』


昨日、電話でそう言ったじゃない。


怒りからくるものか、それとも、悲しみからくるものなのか。

そんなの、ちっともわからなかったけど。


胸が苦しくて、着ていたTシャツの胸元を握りしめた。

< 6 / 320 >

この作品をシェア

pagetop