愛かわらずな毎日が。

時折、隣の女に優しい表情を見せるのは。

間違いなく私の彼氏。


なんで。

どうして。


そんな言葉が頭の中をぐるぐると回る。


今すぐにでも家を飛び出して問いただしたい気分なのに。

片足に体重をかけたとき、不意に、

「その女、誰よっ!」

真夏の海で取り乱す自分の姿が浮かんで、その場から動けなくなってしまった。


そんなみっともないマネ、できるわけない。


冷静になろう。


きっと、なにか理由があるに違いない。

私に嘘をついてまで、その女と海に行かなくちゃいけなかった理由が。


だけど。

いくら考えてみたって浮かんではこない。


ドクドクと動く心臓の音が邪魔をして、冷静になって考えることなんてできなかった。

< 7 / 320 >

この作品をシェア

pagetop