愛かわらずな毎日が。
時折、隣の女に優しい表情を見せるのは。
間違いなく私の彼氏。
なんで。
どうして。
そんな言葉が頭の中をぐるぐると回る。
今すぐにでも家を飛び出して問いただしたい気分なのに。
片足に体重をかけたとき、不意に、
「その女、誰よっ!」
真夏の海で取り乱す自分の姿が浮かんで、その場から動けなくなってしまった。
そんなみっともないマネ、できるわけない。
冷静になろう。
きっと、なにか理由があるに違いない。
私に嘘をついてまで、その女と海に行かなくちゃいけなかった理由が。
だけど。
いくら考えてみたって浮かんではこない。
ドクドクと動く心臓の音が邪魔をして、冷静になって考えることなんてできなかった。