岸谷くんのノート
「灯?何?どしたの?」
「いやーたまげた。」
相変わらずボケッとしている灯に志織が話しかける。
しかし今日はやけに灯の姿勢がいい。
黒板をまっすぐ見つめて微動だにしない。
いつもなら机にだらんと身を預けてくつろいでる時間帯なのに。
なんか変だと志織は思った。
「え?何がたまげたの?」
「しおりちゃん。私の隣の席の人って誰だっけ?」
はぁ?と志織は腰に手を当てる。
唐突に話が変わることはいつもの事だが、それ以前に灯の識別能力の低さに驚く。
「まだ覚えてないの?もう2ヶ月は席変わってないでしょう?」
「ごめんって。で、誰?」
「岸谷くん。」