岸谷くんのノート
うん。次行こ次。と、灯は隣の男子の足を下からゆっくり舐めるように見上げる。
一歩間違えれば変態オヤジだ。
「(…長っ)」
太くもなく、ひょろひょろでもない。そしてとりあえず長い。よく机にねじ込んでるなと思う足の長さだ。
灯はさり気なく自分の足を見る。
悲しいぐらい短く感じた。こんなもん男子と比べるもんじゃないなと、静かに思う。
続きましてー、おしり!…なんて見てどうするんだと灯は自分に突っ込みを入れてみた。
…一応見てみたが、別にこれといって感想はない。
ただの高校男子のケツである。
「…井上。」
「!」
ひ…っ!
灯は一気に全身の毛穴が閉じる感覚にさいなまれた。
今まさにジロジロ観察中のターゲットから、名前を呼ばれたのである。