ホスピス〜命のかけら〜
ぼくは読書が好きなので桜の木の側にあるベンチで本を読むことにした。ベンチに座り本を読んでいると時が止まったのかと思うぐらい優雅な時間が流れた。桜の花びらで時々文字が見えなくなるのも嫌な気持ちにはならなかったし独特の春の匂いが風にのってやってきた。


いま読んでいる本は『走れメロス』。ぼくはいつか全速力で走るのが夢だ。生まれてからずっとぼくは病気のせいで走ったことがない。走った時の風をきるかんじとか爽快感とか本で読むばかりで感じたことがない。


「いつか走ってみたいな。」
そう呟いた時に一瞬風が止んだ。
顔を上げてみるとそこには僕と同じぐらいの女の子が立っていた。
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