ホスピス〜命のかけら〜

─夏─

季節はもう夏になった。
毎日暑くて大変だ。
病室にはエアコンがあるけど心臓に負担がかかるからってあまり温度をさげられない。死ぬのがわかってるのに少しでも長く生かしてくれようとするここ『ホスピス』は居心地のよい場所になっていた。


夏の暑い日を送っていたある日、来週ホスピスで毎年恒例になってるらしいスイカ割りを海でやるという話を担当の看護師さんから聞いた。ホスピスの近くに海があるのできっとそこでやるのだろう。僕はそこで空に告白することを決めた。それと同時に走ることも。


砂浜で全力で走って告白。

初めての告白にいまから胸が高鳴っていた─。
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