アイドルに恋をした。【雑記帳兼ねる】
「朔也、お待たせ。さあ行きましょう」

助手席に乗り込みながら、櫻井さんは運転席に座っている男の人に声をかけた。

朔也と呼ばれた運転手さんは、無言で頷くとエンジンをかけて車を発進させる。

「あの、いったいどこへ?」
「映画」
「え?」
「これから、映画見に行くから付き合って」

ぶっきらぼうに言ったミズキ君。

櫻井さんは、そんなミズキ君を見て笑っている。

「ゴメンね、史穂ちゃん。夜の仕事まで時間が空いたから、映画を見に行くことになってたの。その映画の監督さん、次の映画にミズキをって言ってくれてるからぜひとも見ないとと思っていて。
 でもミズキが今日人と合うからキャンセルしたいとか言い出したから、ちょっと問いただしたら女の子と会うって言うもんだから。
ミズキも普通の男の子なんだなあっ、ちょっとお手伝いしてあげようかな~なんて思って。
というわけで、今日はダブルデートということで、史穂ちゃん、付き合ってくださいな」

「よけーなこというなよ!」
ってミズキくんが叫んだけど、真っ赤な顔はちっとも怖くなかった。




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