アイドルに恋をした。【雑記帳兼ねる】
上演開始ギリギリの暗くなった劇場に静かに入る。

出口扉に一番近い席にミズキ君は座った。
私も隣に腰掛ける。

櫻井さんたちは反対側の扉付近に座ったみたい。


映画はせつない恋物語だった。

題は『君のためなら』

恋人を事故で亡くしてしまった少女。

気丈に振る舞う彼女を支えたのは、死んだ恋人の友達だった。

そんな二人を、天国から見つめる亡くなった恋人…。


静かで優しい、そしてせつない映画だった。

ラストの海のシーンはほんとに素敵だった。

満天の星空の下で、亡くなった恋人からもらった指輪を海に投げ捨てる彼女。
友達は暗い海に飛び込んで指輪を探すんだけど、彼女は友達にやめるようにゆうの。
「あの人はもういないんだから…」って。

そういって泣く彼女を友達は抱きしめてつぶやいた。
「奪っちまうからな…、いいよな?」って。



ラストシーンは涙が溢れてとまらなかった。

「…おい、出るぞ」
「でもまだエンディングロールが残って…」
ハンカチで涙を押さえながらエンディングを楽しもうと思っていたのに。

「早く。明かりがついたら俺だってバレる」

強引に腕を引っ張られて、扉から外に出された。

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