アイドルに恋をした。【雑記帳兼ねる】
「貸す。今それ持ってるから。」

近くに置かれていたスポーツバックを引き寄せて、中を探すミズキ君。

やっぱり均整のとれた顔してるなあ。
みんなが憧れるのが分かるよ。

「あれ?どこやったっけ?お前、ちょっとこれ持ってて」
バックの中に入ってた他の雑誌を順番に渡された。

真奈美も持ってた、ミズキ君が表紙のアイドル雑誌が一冊。
後は高校生向けの参考書だった。
ページにポストイットがたくさん張ってある。

「結構勉強してるんだ」
「まあな。学校行ってるヒマないから自分でやるしかないし。一応受験生だからな」
「大学受験するんだ?」
「勉強嫌いじゃないから。…あった。そっちよこして」

参考書と交換に小説を受け取る。

「ありがとう、ミズキ君。でも車がスタジオに着くまでには読み終わらないと思う」
「貸してやるから家でゆっくり読めばいい」
「でも返す時はどうすれば?」
「櫻井さんに返せばいいよ。ケータイ貸して。赤外線でアドレス送るから」
「うん。はい」
素直に携帯を渡す。「同じヤツか。操作簡単でいいよな、これ」
ミズキ君と私のケータイ、同じ機種だ…。
私のが赤でミズキ君のが白。

何だか嬉しくなった。

ミズキ君は慣れた手つきで赤外線通信していく。

私は借りた単行本を捲りながら、ミズキ君を見つめていた。
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