五人一首
日に日に増していく痣や傷が、当たり前になっていくことが正直怖かった。
いつからこうなったのかも、なにが原因だったのかも、まだ幼かった私にわからなかった。
しかし
空白の毎日が積み重なっていったある日、サイレンの音が近所に響いた。
私はよくわからない人達に家から救出された
まるで宝物を扱うように優しく感じた
私には
見にきていた近所のおばさん達が哀れんだ目で私を見ていた
中には『よく頑張ったね』なんて声をかけてくる人もいた。
今まで助けを求めても相手にしてくれなかったのに…
涙なんて出なかった
私はただおばさん達に恨むように言った
「今まで助けてくれなかった癖にっ!!!」
必死に思いをぶつけた。
八つ当たり
そこからの記憶は曖昧で、気がついたらよく分からない場所に立っていた。
そこには笑顔で私を迎えてくれる人達がたくさんいた。