五人一首




私はそこで救出されて初めて涙が溢れた。
私にとってその笑顔は今まで感じた事のない優しさで触れるだけできゅーと胸が締め付けられた。


ああ、なんて温かいんだろう





そして
“そこ”には住む家や環境がない子どもが沢山いて、私もその中の一員となった。

時々知らない大人の人がやってきては、建物の中にいる子どもを連れていく。




とても嬉しそうな顔をして。
愛しそうに




建物を出ていく子も、少し恥ずかしそうに笑って私達に手をふった。

その様子から『きっといい人だったんだなぁ』と思う。





そしてまた新しい子が入ってくる。
あの頃の私みたいにな表情で…





だから私はあの時みんながしてくれたように笑顔で迎える。






『大丈夫。もう心配ないよ』って。
心から笑える日がくるように願って



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