スノードーム




そこからは一人で帰ってきたり、近所のおばさんに会ったり、たまに先輩と一緒になったり。



ズキッ



そしてふと思い出した先輩の姿。

最後に隣を歩いたのは、校庭から手を振ってくれた日の放課後で。もう随分昔の事のように感じた。




(痛い、なぁ…)




あの時の先輩の笑った顔を思い出して胸が痛いと感じる私は、相当馬鹿だと思う。


そんな胸の奥の痛みを紛らわせるようにテーブルの下でぎゅっと強く拳を握り締めたとき、それを遮るようにふわりと頭の上に暖かい重さがのしかかって。


視線を上げれば私の頭をポンポンと叩く手の主は、隣で黙々と鍋を突いていたヨシくんだった。




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