スノードーム
「…その本、面白かったの?」
「普通」
気になっていた問い掛けには、いつもと変わらないトーンで一言。
ですよね。
その返事が返ってくるのはわかってたけど(そもそもヨシくんが楽しそうに本読んでるのなんて見たことない)。
でも、見かけによらず頭の良いヨシくんのことだ。
きっとその内容はちゃんと覚えているんだろう。
定期試験前に先輩と橋上先輩がヨシくんに泣き付いているのを見たことがある。
(あー…また先輩のこと考えてる)
こういう自分が嫌だ。
そんな私を気にすることもなく読んでいた本を棚に戻しに行くヨシくん。
その様子をボケーッと眺めていたら、思い出したようにヨシくんが顔を上げた。