スノードーム
そしてくるっと私の方を振り返る。
「…ちょっと職員室行ってくるわ」
「職員室?」
そ、と短い返事をしてヨシくんはそのまま図書室を出ていった。
最後に"ここにいろよ"と念を押して。
別にどこにも行かないのに。
一人で帰ったらそれこそ笑顔のお兄ちゃんに懇々と説教されるんだから。
「はぁー…」
ヨシくんが出ていった図書室に一人きり。
静けさはさっきまでと変わらないはずなのに、何だかすごく寂しく感じる。
思わず出た溜息は予想以上にこの空気に響いた。
なんだかんだ言って、一人きりになるのは久しぶりだ。
学校には雅と優美ちゃんがいたし、登下校の間はずっとヨシくんが傍にいてくれたから。