スノードーム




ハァ、と大きな溜息を吐きながら窓の外を眺める。

見えるのは閑散とした校庭。

空は今にも雪が降りそうなほど重い色をしていて。


夏、活気づいていたあの景色は今はない。


いつも見ていた先輩の姿も笑顔も今は、ない。




「嫌いになれたら楽なのに…」




零れた言葉は本音なのか嘘なのか。

それは私自身にももうわからなかった。



ガラッ



再びハァと息を吐き机に伏せたとき、静かに音を立てて開いた図書室の扉。


ヨシくんがもう戻ってきたのだろうか。

そもそも何の用事だったんだろう。




「ヨシくん?もう用事終わったのー?」




それならもう帰ろう。

あまり感傷に浸るのはよくない。落ち込む。




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