スノードーム




何も言えないまま立ち尽くす私に、先輩も何も続きを発しようとしない。


あぁもう何でこんな時にいないの。




(ヨシくんのバカ。早く帰って来てよ)




この状況は息が苦しい。




「…そんなに…ツカが好きかよ」




それはまるで呟くように。


必死にヨシくんの帰りを願っていた私の耳に聞こえてきた先輩の言葉。

その言葉に私は思わず顔を上げた。




(ヨシくんを、好き…?)




それは考えたこともないような質問。


そんなの、好きに決まってる。

だってヨシくんは大切な幼なじみで、お兄ちゃんで、スーパーマンなんだから。

嫌いなわけがない。
嫌う理由なんてない。

お兄ちゃんと同じくらい好きだと思う。


だけど、何でそんな当たり前のことを聞くのだろうか。








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