スノードーム
ハァ、と両手に息を吹きかければ手のひらに僅かに熱が灯る。
それでも指先は吹き抜ける風にビリビリと寒さを訴えた。
しかし生憎冷え性の私は血の巡りが悪いせいか手が痺れてしまうので手袋の類が使えない。
何て面倒くさい体。
そんな私にとってこの季節は激しく難儀な季節なのだ。
「うぅ…」
容赦なく体当たりしてくる向かい風が冷たくて鼻もどんどん痛くなってくる。
多分、私の鼻は今真っ赤になっているだろう。
まったく、やってられない。
ぐずぐずと鳴る鼻を隠すようにマフラーに顔を埋めたとき。
不意に近づいてくる軽快な足音が聞こえた。