スノードーム
そんなの知るはずもない先輩は、いつもと変わらない私の大好きな顔で笑いながら私の隣に立つ。
(ち、近い…!)
距離はきっと十センチくらいしかなくて。
少しでも動いたら手と手が触れてしまいそうな距離。
先輩と向き合っている右側が、さっきまで感じていた寒さなんて嘘みたいに熱い。
じわじわと体に広がる熱は顔まで侵食してきそうだ。
「あ、そうだ!お前、放課後目あったのにそらしただろー!」
そんな緊張している私をよそに、先輩は思い出したように手を叩くとそう言って眉を顰める。
放課後…?目?
何のことだと首を傾げれば、唇を突きだし拗ねたように目を細める先輩。
あ、この顔好き。