スノードーム
「ツカたちとサッカーしてたの、綾人教室から見てたじゃん」
俺手振ったのに無視しただろ。
その言葉に目を見開く。
思い出すのはあの時両手を振っていた先輩の姿。
え、嘘。あれは私に対して手を振ってたの?
目が合ったと感じたのは気のせいとかじゃなくて。
あの笑顔は彼女さんじゃなくて私に向けてくれたものだったの?
「あれ…」
「思い出した?」
思わず呟いた私に先輩は悪戯な笑みを浮かべる。
その顔にまたドキッとしたのは秘密だ。
いちいち格好良いとかずるい。
「あ、あれ…私にだったんですか?」
「当たり前じゃん。お前じゃなかったら誰に手振るんだよ」