スノードーム
でも、それでも私の手は絶対に先輩に触れることは出来ないんだ。
二人並んで歩く帰り道。
一緒になると必ず家まで送ってくれる先輩。
その優しさが嬉しくて、本当は先輩の家が私の家より手前にあることを知っているけど言わない私。
それくらい許してください。
隣を歩く私たちの距離はおよそ十センチ。
たったそれだけの距離だけど、絶対に埋まることのない距離。
それが私たちの関係を表してるみたいで、目頭が熱くなる。
これを埋めた彼女が羨ましいな。
私にも勇気があったなら埋められたのかな。
人影一つないこの道は、二人だけの世界に見えるのに。
この距離はこんなにも、遠い。