スノードーム
ピシャリとドアの閉まる音が響いて図書室に戻ってきた静寂。
そんななか、私は一人先輩から手渡されたスノードームを見つめる。
「…綺麗…」
たまたまとはいえ先輩が私のために買ってきてくれたスノードーム。
それはとても綺麗で。
昨日その瞬間にお店にあったこれに深く感謝した。
(その場にあってくれてありがとう…!)
ドームの中の小さな世界に降り積もる真っ白な雪の結晶。
その中心で二人仲良く手を繋いでいる男の子と女の子。
これが、先輩と私だったらいいのに。
仲睦まじい様子にそんなことを思いながら、私は手のひらの小さな幸せを噛み締めた。