スノードーム
「…ふーん。涼司からたまたま、ねぇ…」
うんうんと頷き、すっと弧を描くお兄ちゃんの唇。
そして珍しくニヤニヤと口元を意地悪く緩めたまま私の頭を優しく撫でる。
何でお兄ちゃんがそんな顔したのかは謎だけど、まぁいいや。
きっと聞いたところで教えてくれないだろうし。
「よかったな、カンナ」
いい子いい子、とでもいうようにぽふぽふと頭を叩きふんわりと笑ってくれるお兄ちゃん。
そこにさっきの意地悪な表情は微塵も残っていなかった。
お兄ちゃんは私が先輩を好きなことを知ってる。
私の一番の相談相手なのだ。
だけどそんなお兄ちゃんにはまだ、先輩に彼女が出来たらしいとは言えなかった。