スノードーム
「むー…寒い」
家を出る時にお兄ちゃんによってつけられた数々の防寒具(マフラー・耳あて・カイロ四つ)に体を包み学校を目指す。
玄関を出る直前、風邪を引かないようにだとか寄り道しないようにだとか、再三の注意を受けた。
仕舞には、変な人には着いていっちゃいけませんとか。
過保護すぎるよ、お兄ちゃん。
「おはよー!カンナちゃん」
赤くなる鼻をマフラーに埋め両手を擦りながらのそのそと歩いていれば、後ろからかけられた元気の良い声。
その声に反応して振り返ると、そこにいたのは昨日図書室まで先輩を迎えに来た二人の男の人。
「塚田先輩、橋上先輩」