スノードーム




目の前で繰り広げられている光景に目眩どころか吐き気がした。


胸の辺りがジクジクと熱くなる。


痛みを伴った熱はどんどんと激しくなって。


言葉に出来ない嫌な、感覚。


だから、私の耳には届かなかったのだ。




「本当、ラブラブですよね」




塚田先輩と橋上先輩の言葉たちは、何一つ。




「「………………は?」」




気付いたときには、そんな言葉が漏れていた。


間の抜けた二人の重なった声が聞こえた気がしたけど、振り返る余裕はなくて。




(止まれ、止まれ)




これ以上言うべきじゃないと頭が警報を鳴らす。

傷つくのは自分だと。




(止ま、れ)




でも零れだした言葉は思いとは裏腹に止まってくれない。




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