スノードーム




「こんな道のど真ん中で堂々といちゃつくとか何考えてるんですかね。周りの迷惑とか考えろっつーの。あぁ、二人の世界に入っちゃったらそんなの考えられないのか。そんな暇ないですよね」




今、私は何を喋ってる?

ちゃんとした日本語を喋っているの?


頭が真っ白で自分の口からどんな言葉が出ているのかわからない。


動揺してるんだと、思う。

だって、うん。

口だけが勝手に動いてるような感じがするし。




「か、カンナちゃん…?」


「でもいくら付き合ってるとはいえTPOくらい弁えられないんですか、あの人たちは」




何とか耳に届いた自分の声は随分平淡だと、僅かに動いた頭の隅で冷静にそう思った。




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