スノードーム
グイッ
「………」
「………っ」
そんな私の視界を真っ暗にしてくれたのはよく知っている、しかし最近触れることのなかった暖かさ。
塚田先輩の手のひらだった。
「…カンナちゃん。今日は俺らとサボろう」
まるで泣く子を宥めるように、ゆっくり諭してくれる塚田先輩の声。
「うんうん!そうしよう!」
続くように橋上先輩の明るい声が響いた後、私は二人に手を引かれながら来た道を戻るようにして歩き始めた。
持っていたはずの私の鞄はいつのまにか塚田先輩の手の中にあって。
俯いた私の目からは、汗だとは誤魔化せないほどの涙が溢れていたけど。
それを拭うこともせず、手から伝わる二人の優しさに甘えた。