スノードーム
緊張という言葉を形にしたような冷たい空気が流れる。
「……きの、う」
そんな堅い雰囲気の中、先にそれを壊したのは先輩の方だった。
だけどそれは私の知らない音。
聞いたことのないその低い声に体が固まって動かない。
視線すら、動かせない。
息をのんだ私に気付いていないであろう先輩は、更にその口を開く。
「昨日、ツカと橋上と、一緒にいたって…本当…?」
身構えて先輩の言葉を待っていた私に聞こえたのは予想していなかった質問。
わざわざそれを確かめるために教室まで来たのだろうか。
正直先輩には全く関係ないことのような気もするが、そんなことを言える雰囲気でもないので素直に頷いておく。