スノードーム
そこに出来た小さな隙間を抜け出して教室を飛び出した。
一歩でも遠くへ行かなくちゃ。
ここから離れなくちゃ。
その思いだけでがむしゃらに走り抜ける。
あれ以上、あの場所にはいられなかった。
先輩と向き合うなんて出来なかった。
いたら、泣いてしまいそうで。
先輩の前では涙なんて絶対に流したくなかったから。
必死に涙を堪えて足を進める。
ドンッ
「きゃっ!」
「おっと…」
前を見る暇もなく無我夢中で走っていたせいか、廊下の角をまがった瞬間誰かの体に思いっきりぶつかった。
その衝撃でバランスを崩し倒れそうになる私の体。
まずいと思ってももう遅い。
くるであろう痛みを予想して固くめを瞑る。