スノードーム
ヨシくんがこうして頭を撫でてくれるのは、昔から決まって私が泣いてしまったとき。
いつも誰より、お兄ちゃんよりも先に私が泣いているのを見つけてくれるヨシくんは、まるで本当のお兄ちゃんみたいな存在。
小さな頃は何度も"何でヨシくんはお兄ちゃんじゃないの"と言っては両親を困らせていた。
そのたびにお兄ちゃんが拗ねていたのも覚えてる。
「…ん」
大丈夫だからと宥めるように髪を行き来するヨシくんの手。
その手の感触にありがとうを込めて頷くと、私はそのまま校門目指して走りだした。
教室に戻ってくるであろう雅と優美ちゃんにはあとでメールをしようと思う。