スノードーム




わざわざ家から持ってきてくれたんだろう。


柔軟剤のいい香りが鼻を掠めて。


もう一度小さくありがとうと呟いた。



ヨシくんが私の部屋に来るのは随分と久しぶり。

多分ヨシくんが中学に上がって以来だと思う。


だけど、違和感はない。


幼なじみって凄いなぁ…

数年の壁を一瞬で飛び越えちゃうんだから。


きっとヨシくんもそう思ってるんだろう。

当たり前のようにベッドに腰掛けて私の頭を撫でてくれる。




「まつやんに何言われたわけ」




呆れたような、それでも優しいヨシくんの声。


疑問系じゃない辺り確信を持っているらしい。


まぁ…私がこれだけ泣くのは、先輩のことくらいしかないけれど。




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