スノードーム
先輩は、私が失恋したなんて知らないんだろうけど。
そんなぼやきにも似た呟きを零して膝を抱える私に、ヨシくんが小さく相槌をうってくれる。
そして確かめるように口を開いた。
「……まつやんと彼女のことって、二年の間でも結構有名な話なの?」
それを私に聞くのか。
自分で自分の胸の傷広げろってことなんですか。
ヨシくんも先輩に負けず劣らず塩塗り込むの上手いよね。
立ち直れなくなったらどうしてくれるの。
「…うん。お似合いのカップルが誕生したーってすっごい噂になってるよ」
そう思いながらも素直に答えちゃう自分もどうかと思った。
「発信源は?」
「えー…野球部か隣のクラスの女子だったと思うけど」