【短】Secret Kiss
初めはただの希望だったけど、本当は少しの根拠だってあったんだ。


あの時は思い出せなかったけど、滝川くんがめがねをケースにしまったときの音。


図書室の前で、滝川くんのシャツを掴んだときのあの反応。



偶然なのかな。



全部、一緒だったの。


あのキスした相手と。



でも違うんだよね。


滝川くんじゃないんだ。



微かな意識の中で感じる、頬に伝う温かいもの。


それに目を開きかけたとき、突然ガラッとドアが開いた。




< 59 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop