あのねっ、お姉ちゃん龍太郎に紹介したい人がいるのっ
「んじゃな、眼鏡のチビにもよろしく言っといてくれ」

ノックもせずに雛菊の部屋のドアを開けようとする龍太郎を。

「あ、待って!」

アリスカは制する。

「あん?」

「その…今は開けない方がいいんじゃないか…な…」

ポッと頬を染めるアリスカ。

「何でだ?」

「や、その…今、雛菊ちゃんとこ、彼氏が来てるみたいでさ…」

言いよどむアリスカ。

天神学生寮というのは、意外と壁が薄い。

つまり、隣室の声がよく聞こえるのだ。

雛菊と彼氏のやり取りが筒抜け。

デートなのも事実だが、聞こえてくる声があまりにも赤裸々で。

アリスカはいたたまれなくなって、早目に出かける事にしたのだ。

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