青空
家についたころには、6時を過ぎていた。
母に怒られてから、夕飯を食べた。
大樹は、美空のことを話そうと思ったが、話したら二度と会えなくなる気がして、やめた。
自分の部屋に戻ってからも、美空のことを思い出す。
空のように青く澄んだ瞳が忘れられない。
そして、白すぎる肌も。
「明日も、あの神社にいるかなぁ」
大樹は、勉強机の椅子に寄り掛り、窓の外を見た。
そこからは、大樹の部屋と同じ位置にある、幼なじみの少女、ひなたの部屋が見えた。
カーテンが閉めてあるため中は見えないが、シルエットが動いてるのが分かる。
「ひーなーた!」
大樹は、車輪の付いた椅子に座ったまま動かし、窓のところまで移動してひなたに声をかける。
「大樹くん?」
大樹の声に気付いたひなたが、カーテンを開けた。
お風呂上がりなのか、パジャマを着ており、肩辺りまである黒い髪は濡れていた。
「大樹くん。今日、帰り遅かったでしょ。お母さん心配してたよ?」
「うん。すっごく怒られた」
大樹は悪びれた様子もなく、満面の笑顔で言った。
それから二人は他愛ない話をした。