青空
次の日の朝、近所の広場で毎年行われるラジオ体操が終わってから、大樹はあの神社に行ってみた。
朝も早く、いるとは思わなかったが、行かずにはいられなかった。
予想通り、美空はいなかった。
家に帰って、午前中は夏休みの宿題をする。
毎年毎年、31日に大騒ぎするため、小学校最後の夏休みくらい、余裕を持とうと思った。
昼食のそうめんを食べた後、友達とサッカー。
二年前にJリーグが始まってから、大樹たちの遊びや話題の中心はサッカーだった。
大樹が通っている小学校の校庭で、毎日、サッカーの練習をしている。
「俺カズ!」
「じゃ、ラモスー!」
「福田!」
「やっぱゴンだよ!」
お気に入りのサッカー選手になりきったつもりで、ボールを追いかける。
そんなときでも、大樹は美空のことを考えていた。
昨日は今の時間くらいに、美空が来ていた。
「ごめん。オレ、ちょっと用事思い出した!」
「え、大樹帰んの?」
去年、大樹の家の向かいに引っ越してきてから友達になった智也が、つまらなそうに聞いてきた。
「ううん。ちょっと行ってくるだけ。すぐ戻ってくるよ」
「俺のレベルについてこれんの、お前だけなんだからな」
むくれながら悪態をつく智也に苦笑して、謝りながらその場から走り出す。
向かうのは、あの神社。