BLACK∀NGEL-紅雪の鬼-



 ――という所で目が覚めた。


 「……あれ……?」


 ここどこだろう。
 ぼんやりと白い天井が映り、
 目を擦る。


 「…夢か…」


 見ていたのがあまりにリアル
 な夢だった為、自分が今どこ
 にいるか理解するのに時間が
 かかった。

 白いカーテンの隙間から朝日
 が差し込んでいる。
 なんてことない、いつもと同
 じ自分の部屋だった。


 「変な夢…」


 淡い黄緑色のベッドに寝転ん
 だままポツリと呟く。

 水と龍と満月と。
 強烈な印象を与えて消えた夢
 は変わっているとしか言いよ
 うがなかった。

 苦しそうな声が今も頭の中で
 反響している。


 ――ピピピピピ…


 「やっば、もうこんな時間!
 」


 珍しくセットした目覚まし時
 計が低い唸り声を消した。
 のんびり腕を伸ばせば、針が
 めちゃくちゃな時間を指して
 いる。

 慌てて起き上がろうとしてベ
 ッドから落ちた。
 踏んだり蹴ったりだ。


 「…?」


 その時、ふと逆転したままの
 視界に黒い何かが映った。


 「なにこれ、痣?」
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