ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
このとき、たぶん半分も本気のセリフだったわけではなかったんだと思う。

加藤さんが軽い口調でそう言ったとき、ヒロくんの瞳がギッと強く光る。

だけどそれに気づいていたのは角度的にわたしだけだったので、ひとりでほっとしていた。

他人を拒絶するその深い輝きはわたしですら滅多に見たことがなかった。

邪魔するなというオーラがわたしにだけ見えていた。


「平気です。ひとりで帰れますから」

「ほんと?」

「はい」


わたしは小さくおじぎをし、お先に失礼しますとその場をあとにした。

なにか言いたげなヒロくんだったけど、そのまま無視をした。
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