ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
裏JV……JVとは共同企業体の意味。


そのプロジェクトの推進者は経済界でも名が知られている人物。そしてうちの社長とも古くからの友人関係の人物でもあるので、受注は当社にもある程度有利に進められるはずのものだった。


そのため本来、うちの会社も受注に積極的になる予定だった。


しかし、うちの会社の規模では苦戦するはず。


そこでそのプロジェクトから表向き手を引く代わりに、うちより規模の大きい末永組の一次下請けとして工事を請け負わせてもらうのが裏JVの密約。


もちろん下請けというのは表向き。


経費も共有し、工事全体の利益をたとえば6:4もしくは7:3で分配される仕組みとなっている。


その契約は水面下で取り交わされるため『裏』JVと呼ばれていた。



「だとしても、そのベイエリアのプロジェクトは末永組で受注できるとは限らないよ」

「確かにな。でも逆に末永組が受注できたら、うちの会社にとっては大きな失態となるよ。うちの会社の完工高、そして経歴からあのプロジェクトがごっそり抜けるんだ」

「そういうものなんだ……。難しい問題なんだね」
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