ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
これではヒロくんの立場がますます不利になっていくよ。

この間、あの場所にいた土木部の人もそうだったけど。

きっと問題の場面を目撃していた人はいないんだ。

階段の踊り場。そこは死角とまではいかないけれど、のぞきこまない限り人目にはつかない。

つまり総務部の女の子が他言さえしなければ、真実は封印されてしまうということ。


「ヒロくんを助けるにはどうしたらいいの?」

「とりあえず、東京稜星大学の保守契約打ち切りの話しはまだ出ていないわけだし。来年度の保守契約はたぶん7月頃から進めるはずだから。そのとき、支障が出てくれば会社の上層部に任せるしかないと思うけど」

「なんの力にもなれないなんて」

「仕方ないよ。西倉さんは運が悪かったよね」




そして、その後事態は一進も一退もせず。

驚くほど静かに一週間が過ぎていった。

わたしはあれから会社帰りになるべくヒロくんのマンションに寄ってご飯を作るようにしていた。

毎日会えるわけではないけど。

それでも今はそれしかできないし、ちょうど今は設計課も忙しい時期なので身体を壊さないか心配でもあったから。
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